誰も信じない
「橘さん、おはよう。」


「あ、おはようございます。」


先輩の稲村由里が話しかけてきた。


「今日、飲み会があるけど、橘さんは来る?」


「ごめんなさい。私、ちょっと用事があって。」


「そう。残念ね。淋しいなー。」


私は稲村さんを信じていない。『淋しい』なんて、嘘に決まってる。


稲村さんだけじゃない。私は誰も信じてない。信じられない。信じたくない。




< 4 / 507 >

この作品をシェア

pagetop