誰も信じない
一杯目のグラスが空になる頃、晃一がやってきた。


「お待たせ。美穂が誘ってくれるとは思わなかった。あ、僕はモスコミュール。美穂はお替りする?」


店員さんが新人さんとわかったらしく、『いつもの』と言わなかった晃一。

さりげない気遣いが、営業やってるだけあってさすが!って思うし、私は晃一のそんなところが好きって思ったんだ。

私もお替りをして、晃一と乾杯をした。



チーン



グラスが触れた時の優しい音色が、私の心に響いてくる。

豪快な乾杯じゃなく、優しく大事にそっと触れる乾杯は、晃一らしさがにじみ出ていた。


「今夜は僕と会って大丈夫なの?新田が嫉妬するんじゃない?(笑)」


今が言うチャンスなのかな?



私の本当の気持ちを。











< 481 / 507 >

この作品をシェア

pagetop