誰も信じない
振り返りたくない。無視したい。気づかないふりをしたい。他人のふりをしたい。実際体がうまく動いてくれない。


「なに?橘さんの知り合い?」


新田の言葉で、他人のふりは無理となった。


「やっぱり美穂じゃん。久しぶり!」


学は相変わらずだった。愛理はメイクも洋服も派手になっていた。


「美穂。彼氏できたのー?」


愛理の言葉には、棘を感じた。まるで『できるのが信じられない』という感じの言い方だった。










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