淡夢【短編集】
あれから1ヵ月がたった……



僕はサナの家を訪れた……


もちろん真夜中に……


サナの家は見るからに貧乏そうだった…


僕は何も言わず誰もいないに家の中に入った……


電気が付かないな……


窓から入る月の光が、どうやら電気代わりのようだ。


その光の差し込む机の上に……


あの碧いネックレスが置いてあった。


月光の青白い光を反射している。


僕はそのネックレスをそっと手に取った。


このネックレスは、宝石の裏側に、ネックレスの名前が彫られている。


自分のを見て気付いたんだ。


僕はサナのネックレスの裏側を見た。




『涙の結晶』



手が震えた。



サナ……



すまない……



キミはずっと泣いてたんだろ……?



市場でキミの涙を止めず、一緒に泣いてあげればよかった……



僕はキミを泣かせまいと必死だった……



必死すぎたんだ……



病院で僕が泣いたとき……



泣きたかったのは、本当はキミの方だったんだろ……?



僕が笑えば……



キミは泣いてくれたのかな……



お金なんて集めずに……



キミのそばにいてあげればよかった……



あれがキミと泣く、最期のチャンスだったのに……



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