淡夢【短編集】
別れの言葉を言うなら今しかない……



そう思い、ありったけの勇気を込めた……



「「また―――」」



しかし、君の声が被り、一瞬言うのをためらった……


でもその一瞬が大き過ぎた……



ベルが鳴り、ドアが僕たちを隔てた……




手を伸ばせば……届くかな




そんな淡い期待を込め……



黄色い線を踏み越え、手を伸ばしたが……



それはまるで故障した自動ドアみたいに……


僕の手を拒んだ……


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