令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「どうしたの? 急に……」

「だってさ、弘司って意外とチャライのよね……。嘘つくし。もっと真面目な人だと思ったのにさ。それに俊樹さん」

「俊樹さん?」


なんか、久しぶりに聞く気がする。俊樹さんの名前を……


「あたしの中では理想の男性だったのよね、あの人。ところが実際は腹黒でストーカーみたいな人だったんでしょ?」

「そ、それはちょっと言い過ぎなような……」

「でも、あんたの話を聞くとそうなるじゃない? そして松本悠馬さん」

「悠馬さん?」

「そう。あたしね、栞も知ってると思うけど、あの人の事は大嫌いだった。絶対にワルだと思ってた。ところがヒーローだったんだもんね……」


ヒーローか……

絵理には詳しい事情を言っていない。
約一ヶ月前、私が悪い人達に拉致されて、そこへ悠馬さんが助けに来てくれて、命がけで私を守ってくれたと思っている。実際にそうなんだけれど、それまでの経緯について、絵理は何も知らない。

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