令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
弘司が近藤絵理に指定した待ち合わせ場所は、大学から程近いメジャーな駅の、まん前の喫茶店だった。


「来るかなあ」

「そうだなあ。なんせ返事してねえからな、誰かさんのせいでよ……」

「すまん」

「ま、絵理ちゃんは来てくれると思う。でも栞ちゃんはどうだろうな。それにしても悠馬、なんでそんな所にいるんだよ?」


俺は入り口に向かって座る弘司の脇の、植木の陰に突っ立っていた。


「あ? 隠れてるのさ。もしも吉田栞が来た時のために」

「おまえ、そこまで栞ちゃんに嫌われてるって、自覚してんのか?」

「まあな」


もし吉田栞が来たとして、俺を見てすぐにUターンされたら困るから、こうして隠れてるってわけよ。



しばらくそうしていたら、


「来た!」


弘司がそう呟いた。

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