美容師男子×美麗女子


「それにしても、やけにテンション高いね。どうしたの?」

「あぁ、うん、ちょっとね!」


2人は見つめ合って、怪しげににやりと笑った。

彼女達の1番テンションが高い時の合図だ。


「大丈夫、千咲には無縁のことよ!じゃあ、また後で!」


友人達は手を振りながら、走り去っていく。

どうしたんだろう。何があったのか。

少し気になったけど、あたしはそのまま階段を上った。






寒い。寒すぎる。

現在、始業式の真っ最中。

ただでさえ寒いこの季節に、外と同じくらい寒い体育館なんかに集めなくなっていいと思うのに。

あたしは自分を抱きしめながら、そう思った。


舞台を見ると、去年就任したばかりの校長が長々と話をしている。

小中高とどこの校長も同じような話をしている。


「ねぇ、やっぱり良いよね」

「うんうん」


あたしの目の前に並んでいる女子2人が、楽しげに話をしている。

周りを見てみると、ほとんどの女子が浮き足立っていた。

みんな楽しそうで、嬉しそう。何か、いいことでもあったのかな。


「ねぇ、何があったの?」


前の女子に聞いてみる。

その子は笑顔でこちらを振り向いた。


< 122 / 210 >

この作品をシェア

pagetop