青のキセキ
最寄り駅に着き、会社まで課長と一緒に歩く。


金曜の夜の事は、お互い触れずに他愛もない会話を楽しみながら。





2人きりのエレベーター内、企画部のフロア。

他の企画部のメンバーはまだ来てなくて、私と課長の2人だけ。



「課長はいつも部長より早いんですね」

「ん?まぁな。残業してやるより、早く来てやるほうが捗るんだ」

「課長らしいです」

「俺らしい?」

「はい。何事においても、最良の選択をする。どうすれば早くできるか、どうすれば上手くいくのか、常に考えて行動する。そんな課長が...」


好きですと言いそうになって、慌てて誤魔化す。


「尊敬します。だって、私なんて何も考えずに行動するから」


また課長を困らせるところだった。危ない、危ない。

課長、変に思ってないよね?心配しながら課長の方を見ると、


「ありがとう」


課長が満面の笑みで、嬉しそうに言う。



「そんな風に思ってくれてるなんて、嬉しいよ」




よかった。誤魔化せたみたい。






そんな話をしているうちに、部長が入ってきた。


「あれ?美空君も来てたんだ。今日は早いね」

「おはようございます」

「おはよう。体調はどうだい?」

「もう大丈夫です。金曜日は心配をおかけして申し訳ありませんでした」
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