青のキセキ
暴力で美空を繋ぎ止めようとした、美空の昔の男。


会ったことはないが、はらわたが煮えくり返る。



自分の出世が大事?

セックスが楽しめないから、堕ろせだと?




同じ男として。美空を想う一人の男として――――。


この怒りをどこにぶつければいいのか。



そいつは、美空を何だと思ってたのか。


本当に、美空を愛していたのか。

美空は、そいつの都合のいい性の捌け口じゃない。



しかも、暴力が原因で流産...?





目の前で肩を震わせる美空。


しかも、自分の子供を宿してる女に暴力を振るったその男。





今、目の前にいたら――――――



――――殺す。









美空の抱えていた心の傷が、想像以上に深いものだと思い知らされた。


男をあれほど怖がる理由が、痛いほどよく分かった。





それと同時に、美空がどれほど小さな命を大切に思っていたのかを知った。




彼の暴力は、どれほどの恐怖だったろう。

小さな命が散ったとき、どれほど悲しかったろう。



トラウマを抱え、今までどれだけ辛い思いをしてきたのか。




確かに、子どもを守ることはできなかったのかもしれないが、それはお前のせいじゃない。


お前は、その命を守ろうとしたんだ。




守れなかったことを悔やむのではなく、守ろうとした自分をもっと認めてやればいい。





腕の中の美空が、愛しくて。







守ってやりたい――――そう思った。
















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