青のキセキ
綾が何を言っていたのか、美空は教えてくれた。

綾の気持ちが俺に重くのしかかる。本来なら、妻に愛され喜ぶべきなのだろう。


しかし、目の前で涙を流し、言葉を詰まらせる美空が今にも消えそうな程弱々しくて、胸が痛い。


愛しているのは美空だから...




分かってたことだから。

優先されるべきなのは綾さんで、自分は2番目で構わないのだと。


泣きながら言う彼女の足元に、涙が落ちる。


頬に手を当て、俺の方を向かせると、瞳に浮かぶ大粒の涙。



余りの痛々しさに、俺は謝ることしかできなかった。



綾に嫉妬し、そして、その嫉妬でぐちゃぐちゃな自分を知られたくないと言う美空の言葉が胸に響く。


嫌う訳ない。


むしろ、その逆だよ、美空。


それだけ、俺を想ってくれてるということだろう?




それに、俺だって石川に嫉妬したんだ。



仕方ないとはいえ、お前と二人でタクシーで帰すことに。





他の男にお前を渡したくない。


二人きりにするのさえ嫌なんだ。























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