青のキセキ


それから数日後...。



美空から会いたいと連絡があった。


何かあったのだろうか。それとも、綾のことか...?綾の妊娠について俺が何も言わないことを気にしているのかもしれない。






だが、そんな心配は取り越し苦労だったとホッとする。




美空が見つけたというその店は、こじんまりとした落ち着いた雰囲気のカフェで、美空曰くフルーツタルトが絶品らしい。



何も言わず紅茶を口にする美空に誕生日プレゼントを決めたかどうか尋ねると、俺の『時間』をくれと言う。


時間...?


どういう意味だ?



すると、俺と旅行に行きたいと美空は言った。



俺の都合に合わせると言うので手帳で確認すると、月末の週末なら仕事も落ち着く頃だし大丈夫そうだ。




美空は綾のことを気にしていたが、そんなことは何とでもなる。俺にとっては、美空との旅行の方が大事だ。


今まで無理を言うことなく自分を抑えてばかりだった美空が、初めて欲した物。

そう思うと只々嬉しくて。



美空が何を考えているかなど分からないまま、俺はその旅行を楽しみにしていた。











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