青のキセキ



「それでですね...昨日、葵とも話したんですが、もし美空さんさえよければ...僕たちと一緒にホテルで働きませんか?」


薫さんの言葉に驚いた。



「僕は本業のホテルの方の仕事も兼ねることになるので、行ったり来たりの生活になると思います。なので、美空さんが来てくれると葵が寂しがらずに済みますし。もちろん、美空さんの部屋も用意しますよ」



それは...住み込みで働くっていう事...?



だけど...。



「そんなの...無理です」

首を横に振りながら言うと、


「どうして?」


首を傾げて聞く葵さん。



「だって...私、妊娠してるんですよ...?ご迷惑をおかけするだけじゃ...」

「そんなの、私も一緒じゃない」

いやいや、葵さんと私では立場が違うでしょ...。




「美空さんのペースで働いてもらえればいいですよ。無理はしない程度で。産前産後は休んでもらって構いません。とにかく、迷惑だなんて考えないで」


穏やかな声で、薫さんは言った。









空が夕焼けに染まり、いくつかの星が煌めき始めた頃、薫さん達はホテルへと帰っていった。


「今日一晩じっくり考えてください。僕たちは美空さんを歓迎しますよ」

と言い残して。





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