孤独の戦いと限界
〜学校〜
〜始業〜


『はい、皆、席に着いてね』

担当の藤先生が教室に入ってくると、会話してた連中も、すぐに席へ着く。

女の先生だけど、怒ると結構怖かったりする。

怒らせるとバツ当番の刑にされるが、生徒が静かで、授業がスムーズに進むなら、自習時間を増やしてくれるから、クラスメイトは整列されたようにきちっとする。


『特に連絡はない。まだまだ寒いから健康管理は、各自気を付けて』

『………』

『…、以上だ』

『………』

『じゃあ、今日も授業を頑張って』

藤先生と俺とは、気が合ったりする。

元はと言えば、友達の輪に入らない俺が、話すきっかけを招いたが、結果としてクラスメイトより会話をしている。

唯一の良き理解者であり、色んな体験を話してくれる人だ。


〜昼休み〜
〜食堂〜

『むむ、人が波のようだ…』


自分は、人ごみが大嫌いで人酔いまでする。
だから、満員電車なんて絶対に乗れない。


『兄さん、例のあれですか?』

『うん、軽く酔っちゃった。サンドイッチだし外で食べるよ』

『じゃあ、私も一緒に行っていい?』

『友達と一緒に食べればいいよ』

適当に断る。
俺の持病を友美にまで、付き合わせる事はない。

『まぁ、そうなんだけど…』

『じゃあね』

『………』

……


『お、椎名』

テーブルに着いて、食事をしている委員長を発見。
近づいて適当にからかってみる。


『あら宮川、あんた食堂で食べないの?』

『分かってるくせに』

『人酔い?、やっかいな病気を持ってるわね』

『…吐いてやろうか?』

『食事中に何てこと言うのよ!』

『冗談に決まってるよ、そこまでひどくないよ』

『もう、静かに食事をさせなさい』

『食事って…』

テーブルには、うどんだけが置かれていた。


『金銭苦?』

『違うわ、節約してるの』

『もっと食べないと、肉食系なのに』

『!っ』

凄い目つきで睨んでくる。
肉食は禁句だったか…。


『ごめん、ホントに』

『………』

『何かおごるから…』

『…、喫茶店のチョコレートパフェ』

『ラジャー、…じゃあな』

『………』

……


〜屋上〜

『ちゃっかりしてる、でも高く付いたなぁ』


チョコレートパフェだけで済むだろうか。
椎名は、怒ると根に持つから後が怖い。

きっとメロンパフェやデザートフルーツ、ミックスジュースの様な、高いオーダーを注文しまくる予感がする。

念のために、今月は無駄遣いを控えよう。

…俺まで節制だよぉ。

……


〜授業〜
〜5限目〜

♪〜、♪〜

『携帯は切ってなさい!』

『はい…』

科学の先生の怒声が響く。寝ていた俺の黒板の前には、何か分からない記号が目に入る。

学校にいる間くらい、マナーモードにしておけばいいのに…。

せっかく睡魔が、俺の頭に降りてきたのに、携帯の着信音で目が覚めた。

『………』


時計を見ると気が遠くなりそう、終業まで20分もある。

何とか寝てみよう。
何事も努力、だ!

……


『ぐお〜、ぐお〜』

『ぬぬぬ…』

『(兄さん、起きて)』

クスッ、クスッ…
教室が妙に騒ついている。

『宮川ぁぁぁ!!』

『!!、ふぁい!』

『いびきをかいて寝るんじゃない!』

……

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