秘密の時間


その時から私達に約束事が出来た。



その日の終わりに、必ず連絡を取り合う。


もし何かの事情で電話に出れない、もしくわ電話出来ない時は必ずメールする。



改めてメールアドレスを交換すると、部長はさっそくメールを寄越す。



[急な仕事ありがとう。
午後も仕事頑張れ!それと弁当旨かった。美優の手料理近いうちに食べたいな]


そんな文面を眺めていると自然と頬が熱くなる。



結局おにぎりだけしか食べられなかった私。


部長は「勿体ないな」なんてお弁当の中身を摘む。



「……」


特に言葉がなかったから、おいしかったのか、不味かったのか、知ることは出来なかった。



でも、このメールには『旨い』なんて書いてある。



なおかつ、『美優の手料理近いうちに食べたいな』なんて…。



赤面は当り前だ。



「ほら美優、いつまでも照れてるな。
行くぞ」



部長はそう言うと私の頭をひと撫でしてから、席を立った。



私は少しだけその余韻に浸って居たくて、わざと部長が食堂を出て行ってからゆっくり席をたった。


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