秘密の時間


「おまじない……、

こんなんでずっと美優と一緒にいられんなら、何回もするのにな――…」



唇が離れると、素早く私を腕の中に閉じ込めた部長は、擦れた切ない声でつぶやいた。



お…おまじない?



夕陽に暮れなずむ空は、部長の横顔をより一層切なげに映し出す。



観覧車の狭い室内もオレンジ色に暮れ、より寂しげに映りこむ。



「もう少しだけ…、このままいさせて」



オレンジ色に呑み込まれてしまいそうな、か弱い部長の声を耳に、私は微かに頷く事しか出来なかった。



ドキドキと今にも飛び出してしまいそうな鼓動を、ギュッと閉じ込めて、



暖かな部長の腕の中で、ただ身を預けることしか出来なかった。



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