秘密の時間


そして次の日。


金曜日であるから残業をする人も少ない。


かという私も昨日の恩田さんの約束があるため、定時には上がれなかったがそれでも早めに仕事を切り上げた。


社内メールで恩田さんから
[仕事終わったら、一階のティールームで待って]

なんて連絡を貰ったから、結構急いでいた。



「中村、今日は早く帰るんだな。

お疲れ」


そんな私には部長は声を掛けてくる。


「はい、お先に失礼します。お疲れさまです。」



部長は自席についたままなので、そう言ってすぐにパソコンに目を落とす。



帰り際になぜ声を掛けてきたかは分からないが、私がいつも遅くまで残業しているのを知っているのかな?なんて思える台詞に、びっくりした。



そして、なぜかモヤモヤとしたものが胸の中に広がる。


なんなんだろ?これって…


って、こんなことしてる場合じゃあない!



私は約束の場所へ急いで足を進めた。

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