秘密の時間


でも『愛してる』と思い込んでいた。



彼女も愛してくれていると思い込んでいた。



だかその思い込みが、全てを狂わすきっかけになったのは確かだ。



新婚なのに残業で深夜帰りばかり。


彼女の相手もろくにしなかった。



休日も彼女の我儘に付き合う気になれない時は多々あって、だからそのうち口喧嘩も絶えなくなった。



でも、ちゃんとそのつど仲直りしとけばよかったのだか、仕事の事で頭が一杯だった俺はそこまで気が回らなかった。




結婚半年。



その頃には夫婦生活なんて破綻していて、俺達はただの同居人に成り下がっていた。



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