秘密の時間



濡れた頭をガシガシとタオルで擦りながら、ティーシャツに短パン姿の彼が現れた。



いつもはきっちりとネクタイを締め、白いワイシャツに身を包んでいる彼だか、


こんなちょっと砕けた姿もさまになってしまう。



そんな彼の姿を今だに馴れない私は、恥ずかしくなって勝手に視線は違う方へ向いてしまう。



「美優、いい?」



そう言って私の隣に腰を下ろした巧さんは、私の手の中のグラスを取り上げ、


残りわずかな液体を飲み干してしまった。



その液体を口に含み、喉に流し込む。



ゴクリ、と流し込まれた液体が喉元を通り過ぎるのをまじまじと見詰めてしまった。



なんか、無駄に色っぽいんですけど……。



私の視線に気が付いた彼が、「もしかして、まだ飲みたかった?」なんて聞いてくるから、


私は慌てて視線をそらし首を横に振った。



「てーか、美優は素直じゃあないな」



そう言って巧さんは私の頭をワシャワシャと掻き乱す。



その触れる指先が妙に優しくて、私は益々恥ずかしくなり俯いた。




「髪、乾かさないとな……」



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