秘密の時間

私、泣いてるの？



零れる涙ひとつひとつに唇を寄せる巧さん。



私は彼からの一言と頬に触れる彼の温もりでその事実に気が付いた。



どうしてしまったんだろ？私。
彼の前で泣いてしまうなんて……。



これじゃあ私の気持ちなんて簡単に巧さんに気付かれてしまうかもしれない。



それとも、本当は彼に気付いて貰いたいのだろうか？


自分の口からは言えないから。



でも、それって……。



なんだか言葉にするより酷な感じがする。




でもいつかは立ち向かわなければならない問題。



こんなぐじゃぐじゃな気持ちなままじゃあ、巧さんと幸せにはなれない。



巧さんとはずっと一緒にこれから先歩んでいきたいから。



もしかしたら、今なのかもしれない。



巧さんの過去を聞くのは。


指輪の事も、前の奥さんの事も。