秘密の時間



何を考えているんだろ?



彼の横顔からは彼の想いまで伺い知る事は出来ない。



ただ分かるのは、いつもの彼と少し違うと言う事だけ。







暫く車を走らすと、本当に海が見えて来た。



私は海を目の前に少しだけ気持ちが上を向く。



でも………。



でも、やっぱり胸の奥底で何かが燻っている。



それは言葉では表せない、けど確実にそこに在るのは分かる。




駐車場に辿り着いて、コンビニ袋を片手に車を降りる。



目の前に広がるのはきらきらと輝く海の水面。



季節外れなのか、人もまばらな砂浜には流木などか打ち上げられていた。




そして彼は、海へと向かわずなぜか海岸線を走る道路へと足を進める。



私はそんな彼の後を着いていっていいものか悩んでいた。



もしかしたら彼は海を見る為にここへ来た訳ではないのかもしれない。



そんな考えが脳裏を掠める。



でも、じゃあだったら何の為?








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