秘密の時間


自然と視線は部長の顔に集中する。


私なんでこんな時まで、部長に懇願的眼差しに送ってるんだろ?


そんな私に部長は優しい眼差しを落としたまま首を傾けた。


そして、その大きな手でもう一度頭を撫でる。


「分かった。もう言わなくていい。

ただ…その目はやめろ!


俺も一応オトコだし…」



そう言われても、私は部長を見つめ続ける事しか出来なかった。



少し落ち着きを取り戻し、改めて私達の距離感を考えると恥ずかしくなった。


そして、頭の中に蘇るのは、恩田さんとのキス。


微かに触れたあの感触が嫌悪感引き戻す。



「どうした?中村

顔色…悪いぞ」

「……」



また溢れそうになる涙を隠す為に俯いた。



どうしてなんだろ!?


たががキスぐらいで、なんで私泣いてんだろ?


初めてって訳じゃあないのに…。



その時、すうっと私の顎を掬う手が伸びてきた。



そして…



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