シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


そして玲様は、真剣な顔をして芹霞さんを見つめると、芹霞さんは少し怯んだようにびくりとした。


「判ったよ。芹霞の病気…教えてあげる」


芹霞さんの、ごくりという唾の呑み込む音が大きく響く。


「実はそれ、何度も再生する…慢性化してしまう病気で、もしかしたらこの先…程度と範囲が拡がってしまうかもしれないけれど、命の危険は全くないから。だから安心してね?」


"慢性病"と言われた。


更には、罹患部"拡大"の予告。

…玲様はもっと広範囲に"実行"されるつもりなんだろうか。


「ええ!!? お薬、お薬ないの!!? あたし、首や胸出して歩けない!!」


玲様は微笑まれた。


「僕だけがソレを知っているんだから、僕だけの前だけでそういう格好をすればいいよ。…うん。僕以外には見せない方がいいね。ミニスカートも、僕だけの前にしてね?」


玲様…。今、スカートは関係ないと思いますが…。


「僕の前なら、どんな格好していてもいいよ? 判ったかい? 僕だけが特別だからね? 僕は見る分にもする分にも全然平気。むしろどんと来い…」


「する分って…?」

「あ…いや…こ、言葉のアヤ?」


にっこり。


「でも…気持ち悪くない? この斑点」

「…何気に傷つくな…」


「え?」

「何でもないよ」


にっこり。


「玲くん…結局これの病名は何?」

「ん? それ…。それか…? それは…」


そして鳶色の瞳が少し斜め上に動いたかと思うと、すぐに芹霞さんに焦点を合わせられた。


「それは…初めて"彼氏サン"が出来た女の子にかかりやすい、心因性のものなんだ。"彼女サン"として、"彼氏サン"とこれから何をどうしていいか判らない女の子が、不安になりすぎる為に起こる。病名は…Tu as une grande place dans mon coeur, et j'espère que ce sera la même chose pour toi」


「玲くん…患者さんが判る日本語の病名にして下さい…」

「あ、ごめんごめん。つい"医者"の名残で…。それは通称"愛不安症"。"愛欠乏症"とも言うんだけれどね」


"医者"を前面に打ち出す玲様が使われたのは、医者が使わないフランス語。


私は日頃、玲様からフランス語を習っている。


聞き間違いではないならば――


『僕の心は君で満ちている。君もそうでありますように』



………。

玲様、それは病名ですか?


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