シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「そ、そンな……」
「我らも共ニ……」
「お前達を助けようと、ウジガミ始め…櫂達が覚悟決めているんだ。お前達がいなくなってどうするんだい?」
「し、しかし!! 此処は我ラの…!!」
「ならば、信じて待っていておくれ。お前達の代わりに、必ず生きてやってみせるから。お前達だって、信じたのだろう? 櫂の言う…新しい世界を。だったら、どこまでも信じ続けようじゃないか」
凛とした牛女の声。
忍者達はどよめき……やがて了承した。
「ひとつ約束…下サイ…睦月殿…櫂殿…」
ひとりの忍者が頭を下げて、牛女と…隣に立った櫂の前で畏まる。
「命が危険ナ時は、我ラを呼んデ下さイ……」
その後ろに、大勢の忍者達がそれに倣う。
「我ラにとっても、貴方達いてこソノ新しい世界。共ニ未来を見るたメニ……」
うわ、やべ…。
目頭が熱くなってきちまった。
「ああ、わかった。力が欲しい時は必ず呼ぶ。だが、命は張るな。お互い、生きてこその未来だ」
櫂の微笑みに、牛女から鼻を啜る音が聞こえ、そして視線が合った。
「なんだい」
「お前こそなんで俺を見るよ」
「ふん。男のくせに目を潤ませてるんじゃないよ!!」
「お前が俺が言うか? お前だって乳があるだけの……」
「紫堂櫂。俺……人数足りない分、ゴボウちゃんを作る!!」
険悪になりそうな会話に割って入ったのは、今まで黙り込んでいた小猿だった。
「は!? お前1体でひーひーだったじゃねえか」
「作る。作れないなんて言ってられない!! 出来る。絶対出来る。俺は……皇城の血筋を引いているんだ!! 周涅の術に俺が負けてたまるかよ!!」
藍鉄色の瞳の奥には、静かなる怒り。
身内がしでかしたものに対するものへ、向かわれているんだろう。
「俺だって、やるよ!!」
その意思は強く、威圧的だった。
「ならば、お前に頼もう」
櫂は柔らかい笑みを浮かべて、小猿の頭を撫でた。
まるで緋狭姉の癖を見ているようだ。
そうだ、この世界が潰れてしまったら。
俺達だけではなく、緋狭姉もやばいことになる。
俺達は負けられねえ。
小猿の詠唱の声を聞きながら、俺は硬い決意を…緋狭姉がいるとされている森に向けた。