シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「由香ちゃん、玲くんは"清く正しく美しく"の人なんだよ、隠れ超肉食でもないし、煌みたいな発情しまくりの変態ワンコとも違うんだ。玲くんは心も体も綺麗な人なんだってば、うわあああん」


「師匠~。そんな美化した言葉を受入れるから、神崎が益々アンポンタンになるんじゃないか~。付き合ったんだから、別に遠回しじゃなくてストレートでもいいじゃないか~うおおおん」


「遠回しって何? やっぱりあたし死ぬのかな、うわああああん」


「何でおめでたい付き合い初日に死ネタなんだよ、神崎~。何で百戦錬磨の師匠が…ああ、そうか~。君、師匠煽ったのか~。それからその痣、師匠から愛情貰っても悪化すると思うけど…煽るのも程々にするんだぞ、君は溺愛されてるんだから~、うおおおおん」

「煽るって何? よく意味判らないんだけれど。目が覚めたら病気になってたの~うわあああん」


「この…天然無自覚の小悪魔~!! だけどまあ、神崎が煽ることで、ドコとは言わず師匠も元気になったんだろうし…じゃなければきっと、変に思い詰めて儚く消えちゃいそうだったろうよ。それは皆が心配していたことだったから、まずは神崎、崖っぷち師匠を救ってくれてありがとう~。まあ…過程はどうであれ、結果オーライみたいな? うおおおん」


「だから煽るって何? 元気になったのは心以外にドコがあるというの、うわあああん」


「それを女のボクに聞くか? 念願叶った状況で煽られた結果の、開放された…本能的な"男事情"は師匠に聞いてくれよ、うおおおん」


……そうしよう。


「玲くん…」


目を向けると玲くんは、げほげほ噎(む)せ返りながら慌てて両手を×印を作った。


………。


「玲くんに拒否られた~、うわあああん」


すると。


「!!!? ち、違っ拒否は拒否でも…芹霞じゃなく質問の…あぁ、泣かないで、ねえ芹霞!!! そ、そうだ、終わりにしよう? 違う、僕達の仲じゃなくて、感動の対面の方ッッ!!! 終わらないから、僕達はずっと!!! 終わるのはこっち、こっちの方ッ!!!」


依然咳を繰り返しながら、何だか悲痛にも思える声を響かせ、玲くんがあたしと由香ちゃんを引き剥がしにかかった。

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