シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「ニノ、時間設定を変更する。15分から…30分へ」


『お答えします。時間変更、了解しました』


緋狭さんの攻撃は…本物じみている…驚異的なもので。

どうしてそんな強さを模せるのか、怒鳴りだしたい気分になる。


空からは金翅鳥(ガルーダ)の炎。

周囲からは緋狭さんもどきの攻撃。


それを除けながら、白色を見つけて移動しないといけない。


流石に息が上がって、筋肉が疲労に震えてくる。


7分でこれだけの疲労度は…

それだけ緋狭さんもどきと金翅鳥(ガルーダ)の攻撃が凄まじいことを物語っているのだろう。


これなら…大量の"生ける屍"を相手にした時の方が、ずっと楽だ。

そんな状態なのに――

緋狭さんは手から…剣を取出して。


緋狭さんもどきが2人いる時点で、物理的な制約はどうとか…思考が現実的な説明を諦めた。

何より、そんな時間はない。


新たに"何か"出て来たのなら、

それに俺が対応していくしかない。


緋狭さんが手にしている剣は、バスタードソードだ。


8年前、俺に稽古をつけてくれたのと同じ武器で。

俺と玲との出会いの剣で。


それを…俺に向けて振り回す。


一振りで体がぐらつく程の風圧。

俺が振ってもここまでの威力はなかったというのに…圧倒的な力の差、か。


10秒ごとに白色に触れながら、俺はただ逃げ回る。


何とも屈辱的ではあるが、そう簡単に緋狭さんもどきがそれを許すはずもなく。


どんなに身を捩っても。宙に飛んでも。


緋狭さんの速度は一向に衰えることなく、かなり執拗で、更には…先回りしていて。


息をする間もなく…

剣技と足技の連続技(コンビネーション)が俺を襲う。


剣を避けきれず…頬に掠めてしまえば。


ピーッッ!!!



「定義(ルール)追加。

一度触れた場所は、もう触れられぬ」


緋狭さんもどきの声。

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