シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

「「………」」


無言のまま…呆けたように立ち竦む櫂の前で、俺は一度ドアを閉めた。

そして今度は俺の手で、ドアを開く。



「はろはろ~」


手を振る、胡散臭い青い男と、


「……何だよ」


人間の言葉を話す…

白いふさふさ猫。


正確には…久遠の声。


2人共…青いこたつに入っている。


そしてこたつの上には、焦げ茶色の小さなリス。


カリカリカリカリ、一心に胡桃(くるみ)を囓っていて。


「今、カリカリしてるんだ。あんまり見るなよ、恥ずかしいじゃないか」


顔を上げた下膨れのリスからは…玲の声。



変わらねえ…。



悪い櫂。


俺…フォロー出来ねえや。



「寒いから、早くドア閉めろよ」


猫の顔した久遠が、こたつに潜りながら言った。


「聞こえてるのか? それとも耳でも遠くなったか? この若年寄」


紅紫色の瞳の猫から…聞こえる久遠の声。


言葉聞いてりゃ久遠だけれど…


だけど…


「何で…猫よ?」


白いふさふさとした毛の猫。

芹霞のド・ストライクな美猫。


…芹霞の頭にあれば、俺のド・ストライクになるふさふさ耳の持ち主。


「どうでもいいだろ、そんなこと」


久遠が欠伸をして、眠そうに言った。

本当にどうでもよさそうだ。



だけど…


「どうでもよくねえだろ、それは!!!」


「煩いなあ、駄犬。大声出したら頬に響くんだよ」


胡桃から口を離した…不機嫌そうな下膨れリス。

頬袋に何か入っているのか。


目がくりりとして可愛い顔している。

長い睫が愛らしい。


芹霞が喜びそうな小動物。

ふわふわとした大きな尻尾がまた、芹霞好みだろう。


「お前…玲だよな。何でリスよ? 何でその頬よ?」

「どうでもいいだろ、そんなこと」


カリカリ、カリカリ。

忙しい歯使いで、胡桃を囓り始めた。


…………。


「どうでもよくねえだろ!!!」


再び突っ込んでしまった俺を、溜息交じりの櫂は片手で制する。


「ニノ。今度の概要を話せ」


冷静だな、櫂は。

お前…今の今まで、ポカンだったぞ?

なんでそんな順応性高いよ?
< 352 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop