シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「「………」」


ふさふさ…。

白いふさふさ…。


「「………」」


先に…ひくりと顔を動かしたのはクオンで。



そして――


「来たーーッッ!!

クオン、協力を求めるッッ!!!!」


「フギーッッッ!!!」


噴き出る血潮。


あたしは首のクオンをくるりと回し、その体に鼻を当てて…ふさふさで鼻血を受け止めてもらった。

強制的に。



「フギーッッッ!!!」


すまん。


非常事態なんだ!!!

動物愛護団体に訴えないでくれ!!

急場を凌がせてくれ!!!


クオンはあたしの頬を引っ掻いて、真っ赤な体で部屋から飛び出した。


「あ、あそこにティッシュがあった…」


灯台下暗し。


クオン、すまぬ。


「何だい、どうしたんだい、クオンッッ!!! 何で血だらけ!!? 神崎や師匠に何かあったのか!!? ああ、そこでぶるぶるするな、ぺたぺたするな!! 走り回るな、七瀬の部屋が部屋が!!! ああ…七瀬の顔に足跡が!!!」


すまぬ、紫茉ちゃん。


ドタバタ…。

ガラガラガシャン。


「痛い痛いッッ!!! 何興奮してるんだ、クオン!!! 暴れるな、ひっかくな!! おい、コラッッ!!! 顔は女の子の命だぞ!!? ボクを傷物にしたら、君は責任とるのかいッッ!!!? ……。何故…そこで嫌そうな顔をしておとなしくなるんだ、このニャンコ!!! あ、百合絵さん」


「ふむ。この猫に怪我はないようですね。どうもこの血は…返り血のようで。しかし敵の気配はまるでないですし…妙ですね。玲坊ちゃまの様子を見て参りましょうか…」


どすどす…。

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