シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

戦闘 玲Side

 玲Side
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芹霞は真顔で僕に近付いてくる。


片手に木工用ボンド。

ぷふぷふ音を鳴らして。


「玲くん。"あーーーーん"」


どん。

逃げ場のない壁を背に感じて、僕は固まった。


危機感。

大好きな女の子に危機感。


「芹霞、僕の歯は大丈夫なんだよ、ほら見て?」


口を開けようとした僕は…


「うう……っ!!!!?」


撃沈し、身を捩って壁を爪で引っ掻いた。


どうする?


証拠を提示出来ないなら、どうすればいい?

どうすれば芹霞を止められる?


「玲くん」


芹霞の息遣いが、顔に感じて。



「"あーーーーん"」


だから僕は――


「玲く……ん? んんっ!!?」


芹霞に口付けたんだ。



動揺した芹霞が、木工用ボンドを飛ばしまくる。


白いものが僕の身体にべたべた飛んでくるけれど。

そんな芹霞の両腕掴んで、唇を合わせる僕の頬はジンジンしてもう涙が出て来るけれど。


芹霞を抑える為には、彼女自身で確かめて貰うしかないんだ。

僕の歯は…無罪だということを。


舌を動かしたら、あまりの痛みに意識が一瞬失いかけた。

だけど僕も必死で、痛みを意志の力でねじ伏せ、芹霞に覆い被さるようにしてまずはその可愛い唇を舌でこじ開けると…素早く芹霞の歯列の裏側を舐め上げる。


可愛い声が漏れ聞こえると、今度は理性を一瞬失いかけた僕は、手で僕の頬を軽く叩いて、痛みにて理性を回復させて。


ジンジン処の話じゃなくなってきたけれど。

痛すぎて頭までズキズキしてきたような気もするけれど。


続けて僕は芹霞の舌を根本から先端までなぞるようにして絡め、
ゆっくりと僕の口腔内に誘導する。


そしてなぞらせる。

僕の歯列を。

欠けた歯があるのかどうか、確かめさせる。


何度も何度も。


「……んっ……??」


芹霞は判ってくれたらしい。

唇を離すと、芹霞は手にある白いモノと僕を見比べて首を傾げて。


「じゃ…この固い白いの何? 玲くんの口の中から出て来たんだよ?」

「それは多分…媚薬」


僕は苦笑して…頬を手で抑えた。


「媚薬?」

「うん。女が抱きたくて抱きたくて仕方が無くなる、アダルトなお薬」
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