シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


バリバリバリ…。



「行っけ~!!!!」



ゴゴゴゴ…。


派手な音が連続で轟く。

操っているのは、態度だけでかい小さなリス。


これが…予想外に凄かった。

俺の予想を上回るチビリスの出来に、俺は瞠目してしまう。


「下動いたら…連鎖になった。2回、3回、4回、5回…すげえ、6回!!! お前凄いな~」


「へへん、もっと褒めてよ!!!」

「褒めてたら…多分スルメ…」

「ええええ!!?」


チビリスがまたもや慌ててブロックから飛び降りるのと同時に、俺は舌打ちする。


瞬間的な落下による衝撃を防ぎたくとも、このままでは駄目だ。

俺もブロックにあがらねえとタイミングが計れねえ。

落下を早める…ブロックを踏む動作をしないと受け止められねえ。


2秒から5秒引いたら、何になるよ。


けど…やらなきゃ。


俺が…やらなきゃ。

俺はブロックに飛び上がった。


「……来るッッ!!!」


その瞬間、俺は身体全体で受け止めた。

重力増してすげえ重さで思わず転げ落ちそうになったけれど。


出来る、俺なら、と――

自分の力を信じるしかねえんだ。


落ちてきたのは正方形のブロック。



「ぐっ……」


筋肉が切れそうなほどのショックが身体を襲う。


だけど俺は耐えた。

根性だ!!!


「がああああ!!」


何とか受け止めることに成功し、視界に入る空いたスペースに、投げつけるようにして落し込んだら、音が鳴る。


「2段消えた!!」


予定外にご褒美を貰ったかのように、純粋に嬉しくなった。


出来ないとか消せないとか…思うだけ時間の無駄だったらしい。

やって見ないと結果は判らねえ。


――連鎖は2秒ずつ回復する。


そう言った櫂の言葉が思い出されて。


2秒―5秒+2秒が幾つになるかは判らないけれど。


チビリスが…ブロック踏まなかったら、落下速度も早くならなかったんじゃないかとも…思ったけれど。


俺には、"2秒―5秒+2秒+5秒"の複雑過ぎる計算結果、出てこねえし。

チビリスに助けられた形にはなるのは変らねえと、此処は素直に感謝してえよ。


――出来ないなんて…決めつけるなよ!!


出来るかどうか悩んでいるのなら、行動すればいい。


行動しなければ、前には進まねえ。

行動しなければ、結果は"出来ねえ"選択肢1つだけになる。


行動すれば…選択肢は拡がるんだ。


そんな当たり前のこと教えてくれたのは、こんなチビだけれど。


…玲かも知れねえな。

あいつも、あっちで頑張っているんだろう。


きっと――…

玲の心がこっちにもあるのかも知れねえ。


そんな気がしたんだ。


「よし、じゃ戻るぞ」

「合点承知の介っっ!!」


………。

お前…いつの時代のリスよ?






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