シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


そう考えれば殊更…

緑皇の領域に、他の五皇が何年も存在出来た事実が不可解で。



五皇の領域は、他の五皇の色を排除する。

だからこその、絶対領域。


無効化したと考えても…何年もの居座りを、緑皇は許すだろうか。


そこまで友好的か?


それも違う気がして。


だとすれば?



考えろ。



だとすれば――

どういうことだ?



「どうや? 櫂はん?」


俺は、情報屋を見据えながら、1つの仮定に思い至る。


"裏世界"は特別な場所にあるのではなく、そこに至るまでの道が特殊なのではないだろうか、と。


玲すら情報が掴めなかった裏世界。

桜は触りまでしか掴めない世界。


情報がでないのは、裏世界そのものだけではなく…そこに至る道も同様で。


至る道すら情報が出ないのは、

五皇の力が及んでいるせいであったとしたら?


裏世界に至る複数ある道の1つが、五皇の支配下にあるのだとしたら?


情報屋の口振りでは、裏世界と…そこに行き着くまでのこの世界を、別物のように扱っている節があった。


この世界でのゲームを制しなければ、裏世界には入れないと…だからゲームをする意義があるのだと。


表舞台から裏世界に至るまで。

裏世界という深層部。


この2つは無関係ではないだろうが、存在意義は違う。

だからこそ、裏世界に行き着いてからは…案内役が交代する。


…思ったんだ。


緑皇の領域は裏世界ではなく…

裏世界に至るまでの領域ではないかと。


緋狭さんは、情報屋を裏世界までの案内役とした。


つまり。


裏世界は…

緑皇の支配が離れる場所であるということではないか?



裏世界。

入っている人間は居るんだ。


だけど――

五皇の影響下にないのに、情報が出ない。


裏世界に入ることが出来る人間は選別されるといえど、昔の俺のような…惰弱な久涅も入ることが出来たというのなら。


"資格"さえあれば、それが光であれ闇であれ…表舞台の威光は関係ない。


肉体があるかどうかも関係ないだろう。

現に俺達は…意識だけでこの世界に居る。


つまり…"資格"と"道"が判れば、

どんな状態であれ――…


裏世界は誰にでも拓かれている。


そしてその道筋の1つが、緑皇の力。



夢という…無意識領域が、

裏世界に通じているというのなら。



それなら――…?
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