いじめのその先


「千南ちゃん、ごめんね。急にやれって言われても無理な話だよね。少しずつ慣れて行こう?」

本当の恐怖心に襲われた私は軽く頷いた。

その後何事もなかったかの様にクラス全員で移動教室についての話し合いをした。
私はクラスに馴染みながらも上の空で、前の席の飯田さんの背中ばかり見ている。

「ね~千南ちゃんは伊豆のどこ行きたい?」

「え?」

ふいに名前を呼ばれて慌てて黒板を見たら、伊豆の行きたいとこについていくつか候補が上がっていた。

「あ、えっと……あの自転車の国とかかな?」

「お、やっぱりそうだよね♪私も自転車の国行きたい!!」

「私も♪」

「俺も行きて―」

皆から賛成の声が上がり、学級委員の村井君は大きく声を上げた。

「では、一日目は班での自由行動。二日目に自転車の国へ行き、最終日三日目に海にて遊ぶと言うことで良いですか?」

「賛成~!!」

一致団結して決まった。
班はくじ引きで決めることにし、私は幸恵ちゃんに手を引かれひいた。
運が強いのか弱いのか、私達の班は個性的な班になった。
黒板に書き込まれていく名前を見て思った。

3班
・佐々木怜 ・月島星也
・立川智一 ・新崎幸恵
・相原千南 ・飯田咲枝

あれ…月島君って誰だろう…?
見知らぬ名前に私は疑問を抱いたまま、その日の学校生活が終わった。

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