いじめのその先

「咲枝!!帰りゲーセン行こうぜ?」

いつもの様にいつものメンバーで遊ぼうと誘った時、咲枝は用事があるからと断った。1、2回なら分かるがそれは毎回のお決まりになっていた。

「何かあったの?」

心配になった幸恵はふと聞いてみた。しかし何でもないと笑う一方で理由は分からなかった。

「お前、最近どうしたんだよ?」

ある日のランチ時間、焼きそばパンをほうばりながら智一が聞いた。

「え…何が?」

でも咲枝はキョトンとしたまま目を見開いている。

「何って…」

「そんなに何かが忙しいのか?」

智一のを代弁するように俺が声を出した。

「あ~たいしたことじゃないんだけど…」

「けど?」

理由を聞き出そうとする空也は、言葉を繰り返した。

「ちょっと金欠的な~」

苦笑いを浮かべて話した咲枝の表情からは、嘘か本当かが読み取れなかった。
空也はそんな咲枝を見兼ねてか、ある提案をしたんだ。

「海行かない?」

「海?」

「そう。最近暑いし…お金もあんまり使わないで遊べるから、良いと思うんだ♪」

そして俺達は空也の提案によって、今週の土曜日に海へ行くことになった。

< 43 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop