カプチーノ·カシス


「あーあ……僕も行きたかったなー大阪。なんで柏木さんと留守番なんだろう」

「……それはこっちの台詞だ」


仕事に身が入らないのは石原も同じらしく、朝からずっとこんな調子でぶーたれている。

ま、それも仕方ないだろう。好きな女が意中の男と泊まりで出張……

さすがの俺でも、平常心ではいられない。

だからこうして焦がした豆を、捨てるハメになっているのだ。


「柏木さんって……愛海ちゃんの何なんですか?」

「……あ?」


頭一つ分背の低い石原が、俺を上目遣いに睨む。

女にされたら悪い気はしない表情だが、残念ながら、こいつは男だ。


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