カプチーノ·カシス
ジャーマンブレンド


残りの正月休みは実家で退屈に過ごし、久しぶりに課長に逢えるというのに二キロも太った体をうらめしく思いながら出勤した初仕事の日。

会社の入り口に設置されているタイムカードを押していると、同期の里沙と顔を合わせた。


「おはよう、あ、明けおめか」

「愛海! ちょっとちょっと! あんたどうなってんのよ!」


里沙は挨拶もせずに何故か興奮した様子であたしの背中をバシバシと叩く。


「痛いよ……何?」

「何じゃないわよ! あんた……」


そこまで言って急に黙った里沙は、周囲に誰も居ないことを確認したあとであたしに耳打ちする。


「吉沢課長と大阪行くって決まったときあんなに浮かれてたのに、どうして柏木さんなの?」

「……え?」


里沙の言っている意味が分からない。

大阪出張の成果を彼女に話しそびれていたのは確かだけど、なんでそこでハルの名前が……


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