カプチーノ·カシス
外で話しませんか、という俺の提案に課長は黙って頷き、俺たちは喫煙所に向かって歩き出した。
仕事柄舌と鼻を鈍らせるわけにはいかないので俺も課長も煙草は吸わないが、男二人で長話をするにはそこが一番不自然でない気がした。
その途中の自販機で課長が無糖の缶コーヒーを二本買い、俺にも一本手渡した。
煙草代わりのカフェインは、冷静に話そうという意志の表れなのかもしれない。
そして辿り着いた喫煙所には、誰の姿もなかった。
トタンの壁に囲まれた二畳ほどの空間にぽつんと吸い殻入れが置いてあるだけで、屋根もないその場所。
……相変わらず小汚いな。
俺がぼんやりそう思っていると、隣でプルタブが開く音がした。