カプチーノ·カシス


課長と入れ替わるように柏木さんが戻ってくると、その扉の音に今まで机に伏せていた愛海ちゃんの肩がぴくりと反応した。


「……まだ泣いてんのか」


呆れたように柏木さんが言うと、愛海ちゃんはゆっくり体を起こして柏木さんを睨んだ。


「誰の、せいだと……っ」

「俺のせいだって言いたいのか? 元はと言えば自分で蒔いた種だろう」


柏木さんはそう言ってシンクに近づくと、水切りかごの中から何かを取り出した。


「これももう必要ないな」


振り返った柏木さんの手には二つのマグカップ。

愛海ちゃんと……課長の?


「何する気……?」

「こんなモンがあるから、お前は妙な期待を抱くんだ」


僕には何のことかさっぱりわからなかった。

ただ、二人とも同じ時期に新しいカップに変えたなとは思っていたけど……


……ああ、そうか。

それはきっと、偶然じゃなかったんだ……



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