カプチーノ·カシス


「ごちそうさまでしたー」

「はい、全部食べてえらいぞ」


焦げてない部分を寄せ集めた出来損ないのチャーハンだけど、ユメの口には合ったらしい。

あっという間に皿は綺麗になった。


「ユメ、もう眠い」

「お風呂は?」

「……入らないで寝る」


俺は時計を見て、納得する。

もう九時か……一日くらい風呂入らなくてもいいだろう。


「じゃあ歯だけ磨いて」

「はぁーい」


俺は立ち上がり食べ終わった食器をシンクに置き、さっき気になったものをまた戸棚から出して眺めてみる。

もしかして……二人目?

体調が悪いのは妊娠のせい、とか……


考えれば考えるほどつじつまが合う。

俺は洗面所で歯を磨くユメの元へ行って、こう尋ねた。


「ママ、今日病院に行った?」

「うん、だから今日は幼稚園のおむかえ唯(ゆい)ちゃんのママに来てもらったのー」


……やっぱり。塔子の体調不良の原因は、妊娠か……


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