カプチーノ·カシス


「二十一日って、微妙にクリスマス近いじゃん? サンタさんがあたしの片想いを助ける気になってくれたんだよきっと……」

「サンタねぇ……」


ばかばかしい、とでも言うように里沙は気のない返事をするけれど、あたしはすっかりその気。

このチャンスをモノにしなかったら女がすたる。

胸の内で発酵させすぎていた恋心を、ちゃんと伝えるの。勝負は二十一日よ、愛海……!

あたしはコーヒーフロートのアイスをかき込み、冷たいコーヒーを一気に飲み干して一人頷く。

里沙はそんなあたしを不気味なものでも見るように一瞥すると、ま、頑張ってねと一応エールを送ってくれた。


< 72 / 349 >

この作品をシェア

pagetop