tender dragon Ⅰ
間違えて動く心臓


どうしてこう、上手く出来ないんだろう。

あたしはあれだ。告白されちゃったら、そのあと気まずくて目も合わせられなくなっちゃうような人間だ。

その辺、上手く立ち回れる人が羨ましい。

どうしてあたしには出来ないんだろう。


……もう、かれこれ1週間も葉太と気まずいままの関係が続いている。

葉太は気を遣ってか、今まで通りに話しかけてくれるんだけど、あたしが全くダメで。

どうにもならないくらい挙動不審。

それを見て、どうやら春斗は察したらしい。


「あの、美波さん……もしかして、葉太さんに告られました?」

「………え?」

何の前触れもなく、そう聞いてきた。

……一度春斗の頭の中を覗いてみたい。きっと、この人はあたしの心が読めるはず。


「図星ですね。」

「や……いやいや…」

「葉太さん、すっげぇ落ち込んでますもん。もう、ドヨーン、って感じっすよ」

「うそっ、そんなに?」

あぁ、やっぱり傷つけてるんだ。

< 314 / 428 >

この作品をシェア

pagetop