わたしのヒーロー



「……わかりました…。」



お…おかあさん…?

声が震えてる…
大丈夫?おかあさん…

あぁ…何か言わなくちゃ…


「早く離婚届わたしなさい。サインするから。そして早く出て行ってください。」


おかあさん………


お母さんはわたされた紙に静かに綺麗にサインをして、用意しておいた荷物をわたしてさっさとお父さんを家から追い出した。



「もう二度と来ないでちょうだい。」


「あぁ、来る必要は無いしな。今、すごく幸せだから。邪魔はしないでくれよな。それじゃあ。」

「…それはこっちのセリフよ!一生姿を現さないでちょうだい!!」



お父さん…
わたしの知ってるお父さんはどこに行ったの…?




わたしたち三人は、お父さんの遠ざかる背中を見つめながら不安や恐怖を消すようにぎゅーっと抱き合った。




さようなら、お父さん。

バイバイ、お父さん。

小さいとき、たくさん遊んでくれた
めんどうたくさん見てくれた
優しいお父さんはもういないんだね…



さよなら、大好きだったお父さん。



家族ってなんなんだろう。
愛ってなんなんだろう。
なんか…気持ち悪い。

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