サヨナラの前に抱きしめて-泡恋-
いいな…。私の髪も同じ黒だけどサラサラじゃないし、梶くんの髪はサラサラの上に触ったら柔らかそー。
シャンプーとか何使ってるんだろ。
自分の前髪をちょんちょんつまんで触ってみる。落ちる前髪は、触ってみてもサラサラでもなくて、柔らかくもない。
シャンプーはサラサラのやつ使ってるんだけど…。
それから、先生の授業なんか一切聞かずに、私の視線はいつまでも梶くん。
ぼーっと見とれてたら、ふいに視線が梶くんとぶつかった。
反射的にそらして、見てなかったフリをするけど、顔はどうしてか熱い。
わわっ!梶くんと目合っちゃった!
どうしよー。私が見てたのバレちゃったかな!?恥ずかしいっっ!
ふるふる頭を何度も降って、息を小さく吐く。
恥ずかしさでいっぱいになった胸を隠すように、慌ててノートを取るフリをしたけど、筆箱の中をごそごそしてた間に、机の上でお休みしてた消しゴムがコロンと床へ落ちた。