サヨナラの前に抱きしめて-泡恋-
二人だけの小さな秘密
「ちぃったら、今日も梶くん見てたね」
「えっ!?」
昼休みの教室。お弁当の時間。
向かい側に座ってる、沙耶佳(サヤカ)ちゃんの言葉で、卵焼きを取ろうとする指の動きが停止。
呆気ない声がぽろりと落ちちゃって、手を左右にぶんぶん振りながら、否定してるけど顔は、ぼわわって熱い。
「みっ、見てないよ!」
「ちーちゃんウソ下手。顔すっごく赤いし!」
すぐさま言葉を見つけて早口で言ったけど、心(ココロ)ちゃんの、笑い声で消されてしまった。
なんだか気持ちを見透かされた気分…。小さく息を一つ。
もーっ!二人とも好き勝手言うんだから…。
梶くんや、クラスのみんなに聞かれてたら恥ずかしい。
そんなことを考え出したら、また頬が熱くなってく。
一種の病気みたい。