ゆびきり
「愛羅、帰れる?」
俺は、愛羅になるべく自然に話しかけた。
「ごめんね。今日は、優姫ちゃんと理華ちゃんと帰るから…」
 避けられた。さりげなく、でもはっきりと…

「翔輝…俺避けられてるのかな?」
 翔輝と、2人で帰っているときに、思わず聞いてしまった。
 翔輝が、答えられるわけないのにな…
「よく分からないけど、愛羅ちゃんは、混乱してるんじゃないのかな?」
 えっ?あの愛羅が、混乱している?
 んなわけないだろっ!
 愛羅は、何があっても開き直っているんだぞ。
 あいつが、混乱するわけが…
「陸斗、家着いたぞ。」
 えっ?あ、ホントだ。気づいてなかった。
 最近、ぼーっとしてるな。
 松尾のせいだ。あの事が、なければ愛羅とも何もなかったのに…

「ただいま…」
 はー、疲れた。なんで、こうなるんだよ…
「陸斗、おかえり。さっき、松尾莉実って子から、電話があったのよ。」
 なんだって!松尾に、電話番号教えた記憶はない。
 誰なんだ?俺の、電話番号を教えた奴は!
 これ以上、松尾に俺の境域に入ってきてほしくない。
 
 そんな事していいのは、愛羅だけだ。
 松尾なんて、どうでもいい。
 なんで、俺たちに関わってくるんだよ!
 やめてくれよ。これ以上、乱さないでくれよ!
 俺たち2人に、関係ないじゃないか!
 ふざけるんじゃないよ!

 俺は、自分の部屋で、窓から見える、愛羅の部屋をベットから、ずっと見ていた…
 
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