ゆびきり
「ごめん、今日私おかしいな。ホントごめん。私帰るね…」
 愛羅は、俺に気を使って、帰ろうとしていた。
「待てよ、愛羅。」
 俺は、愛羅の腕を掴んでいた。

「さっきの質問に、答えるよ…」
 愛羅は、目を見開いていた。
「俺は、松尾とは付き合っていない。」
 
 愛羅は、ホッとしたような表情になった。
「それから、次の質問…」
 愛羅の顔に、緊張が走った。







「その質問には、まだ答えられない」









 愛羅は、びっくりした顔になって、すぐに後ろへ振り向いた。
「ごめんね、いきなり聞いたのも悪かったね…」
 愛羅の声が、涙声だった。
「私、帰るね…」
 

 俺は、愛羅を止めることができなかった。

「俺は、なんて最低なことをしてしまったろう…」
 俺に、質問したってわかるわけがない。
 答えは、愛羅にしかわからないんだから…




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