ゆびきり
「ちょっと、陸斗。どこ行くの?」
 心配そうに聞いてくる愛羅を、無視して俺はどんどん歩いて行った。
 5分後、俺が不意に止まると気づいていなかったのか、俺の背中にぶつかった。
「陸斗、急に止まらないでよ…って、ここ陸斗の家?」
 俺たちが着いたのは、俺の家だった。
「親いないから、早く入って?」
 愛羅は、いつもと違う俺にびっくりしたように俺のほうを見たが、静かに
「お邪魔します」と言って入って行った。
 俺は、自分が何したいかなんて全然わからない。
 だけど、さっき氷室とキス。
 しかも、俺が一度もしたことのないくらいに長かったようだ。
 お茶を取りに行って、部屋に入った。
 いつものように、部屋を見渡すわけでもなく、静かに座っている愛羅がいた。
 そんな愛羅を見て、抱きしめたい衝動にかられた。
 だけど、そんな事出来ない。
 そう考えていた。
 愛羅の気持ちが全く分からない。
 俺のこと好きなのか?
 それとも、氷室の事が好きなのか?
 愛羅、ちゃんと教えてくれ…
 
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