【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「おーい、席につけー」
担任が教室へ入って来ると、集まっていた女子が散らばった。
でもコソコソ話をし、ニヤニヤ笑みを零している。
「今日は、転入生がいるから紹介する。入れ」
そう言われて入って来た男の子に、クラス中がザワザワした。
あたしもゆっくりと顔を転入生へと顔を向ける。
「椎名 冬夜(シイナ トウヤ)君だ。仲良くしろよ」
あっ!
あの……男の子だ。
『かっこいー』
と周りの女子が騒ぐ中。
あたしは入ってきた転入生を見て、目を見開いた。
椎名冬夜という転入生は、昨日口から血を流していた……、あたしに“殺すよ?”と言った男の子だったんだ。
にこりともせず『よろしく』と呟くような挨拶。
まだ耳に残る低いハスキーな声、印象的だった黒い髪。
間違いない!
絶対昨日の男の子だっ。
そう確信して、昨日のは幽霊じゃなかったんだと少しホッとした。
でも幽霊じゃないって事は……殺人犯!?
あ、でもニュースになってなかったし。
もしかしたら死体を隠したとか。