【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「今の俺には昨日みたいな元気ないからなー。
無理矢理襲うことも出来ねぇよ」
これは本当。
「そんなに体調良くないの?」
だけど……
「あー……、あんまこっち来んな」
俺の近くに寄ろうとする仁奈に優しく言う。
なんでかな、コイツからやたらと甘い匂いが漂ってくる。
何の匂いなのか、なんて考えなくても今ならわかる。
“血”だ。
こんな甘い香りは初めて嗅ぐけど、間違いなく血の匂い。
そのまま仁奈は黙ってしまったけど、甘い香りは離れていても微かに鼻を擽る。
まるで、おあづけ を食らった犬みたいな俺は滑稽すぎだろ。