【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


仁奈の後頭部に手を当て、俺に引き寄せると。

甘く香っていた匂いが、一層強くなる。

それは、まるで俺を誘うみたいに全身に入り込む。


首筋にに唇を落とすと、柔らかい肌の感触が生々しくて。


首筋を吸い仁奈の血が、俺の喉を潤していく。

それは今までに味わったどんな女の血よりも甘くて、優しい。



ヤバイ。



何だコレ。

初めて味わった血と、感覚と、感情が爆発しそうになって……



「イキそー……」



キスをしたわけでも、セックスをしたわけでもないのに。


何だよ、これは。



これが“吸血鬼の相手”。



そりゃ、世の中の吸血鬼さん達が、こぞって“相手”を探す気持ちがわかるわ。

俺が、そんなことを考えている中、仁奈は俺の言葉が許せなかったらしく。

キャンキャン吠えていたけど、そんなのはどうでもいい。



俺は、コイツが。



仁奈を真剣に欲しくなってしまった。




~冬夜 story3~



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