【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


「あ! これは噂の悪口を信じてるって意味じゃないよ?
仁奈ちゃんは、そんなこと言う子じゃないもん。
ただ、ほら……私男の子苦手だし諦めさせてくれたら、それはそれで嬉しいって言うか…」

「ちょ、ちょっと待って、繭ちゃん!」

「ん?」



話を中断したあたしに、キョトンとする繭ちゃん。



「どういう意味?」

「え?」

「悪口って……?」

「あれ?
仁奈ちゃん知らなかった?」

「あー、いや知ってるんだけど……。
あたしの聞いてたのと何か違う気がして」

「え?」

「繭ちゃんの知ってる噂、説明してもらってもいい?」



なんか、おかしい。

噂だから、どんどん話が変わっていってるだけ?



「私と話がしたいって男の子達が、私がこんなだから喋る事が出来ないって仁奈ちゃんに相談しに行ったら、仁奈ちゃんが私のことを悪く言って諦めさせてるって……。
私は、そう聞いたんだけど」



なにか違うの? そう言った繭ちゃんに、



「う、ううん。
あたしが聞いたのは繭ちゃんの事を相談してきた男の子達を、あたしが狙ってるって噂だったから」



と曖昧に答えた。




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